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裁判員裁判について−2

弁護士   阪尾晋一

平成21年11月16日更新


 具体的に裁判員を辞退できる事由とは、いかなる事由のことでしょうか?

 まず、次のような場合には、裁判員になることができません。

 (1) 20歳未満の人
 (2) 成年被後見人、精神障害などにより判断能力が全くない人
 (3) 国会議員、裁判官・検察官・弁護士などの司法関係者、都道府県知事・市町村の長などの一定の職業にある人
 (4) 被告人や被害者の親族などの事件の関係者

 また、これらの場合に当てはまらなくても、辞退が認められる場合があります。

 (1) 70歳以上の人
 (2) 地方公共団体の議会の議員(ただし会期中のみ)
 (3) 常に通学が必要な課程に在学する学生、生徒
 (4) 5年以内に裁判員になったことのある人
 (5) 1年以内に裁判員候補者として裁判所に出頭したことのある人
 (6) 一定のやむを得ない事由により裁判員になることが困難な人
    例えば、
    ・重い病気やけがにより裁判所に行くのが困難な場合
    ・同居の親族を介護、養育する必要がある場合
    ・事業上の重要な用務があり、自分で処理しないと著しい損害が発生するおそれがある場合
    ・父母の葬儀など、社会生活上の重要な用務がある場合
    ・妊娠中や出産直後の場合

 これらの事情があって裁判員を辞退したい場合には、調査票や質問票で、その内容を具体的に回答するべきです。合わせて、学生であれば学生証のコピーや同居の親族の介護が必要であれば要介護認定の通知書のコピーなど、辞退事由を説明する資料などを添付された方が賢明です。

 では、仕事が多忙という理由で、裁判員を辞退することは可能でしょうか?

 その答えとしては、単に仕事が忙しいという理由だけでは、辞退は困難と思われます。ケースバイケースの判断になりますが、とても重要な仕事があって、それを自分自身で処理しなければ著しい損害が生じるものと裁判所が認めた場合には、辞退することができることになります。

 次に、会社から休みをもらえるのでしょうか?

 裁判員候補者や裁判員として選任手続期日やその後の裁判期日に裁判所に出向くために必要な場合、法律上、休みをとることが認められています。ですから、勤務先の会社は、これらの休みを理由として従業員に対して解雇その他の不利益な取扱をしてはなりません。

 他にも様々な疑問点などがあると思います。この点、最高裁判所が裁判員制度に関するホームページ(http://www.saibanin.courts.go.jp/)を作成していますので、そちらをご参照下さい。

 既に裁判員裁判は始まっています。当事務所のホームページにお越し頂いた皆様の中にも裁判所から通知が届いて非常に驚かれている方もいらっしゃるかもしれませんが、せっかくの機会ですので、都合の許すかぎり、裁判員として刑事裁判に参加され、裁判員の経験を持たれてはいかがでしょうか。

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