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民法改正について(消滅時効に関する変更点)

弁護士 谷岡俊英

平成30年7月11日更新

 昨年、民法の一部を改正する法律が可決され、平成32年4月1日に施行されることになりました。
 今回は、その中でも消滅時効の原則に関して大きな変更がありましたので、ご説明をさせていただきます。
 現行の民法上の消滅時効は10年、商法上の商事消滅時効が5年、職業別に短期消滅時効が設けられていましたが、改正後の民法では、商事消滅時効や職業別の短期消滅時効が廃止になり、従前の権利行使ができる時から10年で消滅時効にかかることに加えて権利行使ができることを知った時から5年で消滅時効にかかることになりました。
 商事消滅時効などがなくなり、権利行使が可能となることを知った時という起算点(主観的起算点)が新たに設けられたことが特徴です。
 契約の場合、契約段階で履行可能時期を知ることが通常ですので、実質的に契約に基づく履行請求権は個人間のやり取りの場合であっても5年となったということができます。
 また、客観的な10年と主観的な5年が重なった場合はどちらか早い方で時効が完成することになっています。
 例えば、客観的起算点が到来後5年以内に主観的起算点が到来した場合は、主観的起算点から5年で時効が完成します。
 なお、平成32年4月1日以降であっても、「施行日前に債権が生じた場合」には従前の民法が適用されることになっています(附則10条4項)。ここでいう「施行日前に債権が生じた場合」とは、「施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む」とされています(附則10条1項)。
 例えば、施行日前に代金債権が発生した場合は現行の民法の規定が適用されますし、施行日前に請負契約締結→施行日後に完成の場合であっても、原因となる法律行為である請負契約の成立が施行日前であれば、請負代金債権の消滅時効は現行の民法が適用されることになることにご注意ください。
 以上は、あくまで原則についての説明であり、この他にも消滅時効だけでもいくつも改正点がありますし、今回の民法の改正は消滅時効に限りませんので、改正民法が施行される平成32年4月1日より前にどのような改正があるのかについて弁護士にお問い合わせいただいた方がよいかと思います。
 以上
                                                                    

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