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遺言書(自筆証書遺言書保管制度)について

弁護士 田中素樹

令和3年3月1日更新

 令和2年7月より、自筆証書遺言書保管制度を利用できるようになりました。
 そこで、今回のリーガルトピックスでは、上記制度や遺言書について簡単にご説明します。

 
1 遺言書の種類 
    通常の遺言書は、大きく分けて①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言に分類されます。特に一般的な①自筆証書遺言と②公正証書遺言についてご説明します。

2 自筆証書遺言 
   一般的にイメージされる手書きの遺言書がこれで、遺言者が、遺言全文・日付・氏名を自書し、押印をすることで、その遺言書は遺言としての効力が認められることになります。
 なにより簡易で費用もかからない点がメリットですが、遺言書を個人で管理することになるため、偽造や隠蔽、紛失等のリスクがありますし、専門家の目を通していない分内容に不備がある可能性も高くなります。また、遺言書を発見した相続人が開封前に遺言書を家庭裁判所に提出する「検認」という手続も必要になります。

3 公正証書遺言 
   一方、公正証書遺言は、2人の証人が立ち会いの下、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する遺言であり、作成した遺言書は公証人役場で保管されます。
 自筆証書遺言のような紛失等のリスクが大幅に軽減される上、公証人のチェックが入るため内容や遺言能力の点であとから揉めるリスクもいくらか軽減されます。検認も不要です。ただし、数万円単位の手数料がかかること、作成自体に手間がかかるというデメリットも存在します。

4 自筆証書遺言書保管制度 
   自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言を公的機関である法務局で保管する制度です。これにより、紛失等のリスクが大幅に軽減する効果が見込まれるほか、検認が不要になります。上記2つの遺言書の形式と比較すればわかるように、自筆証書遺言の簡易さを持ちながら、公正証書遺言のメリットをいくつか取り入れることができるものになりますので、自筆証書遺言を作成される場合は、利用する価値のあるものだと言えるでしょう。

5 さいごに 
   以上のとおり遺言書と新制度についてご説明しました。
 自筆証書遺言書保管制度はたしかに有用な制度ではありますが、相続はトラブルに発展することが多いため、やはり一番重視すべき点は内容や遺言能力での争いを避ける点にあります。そのため、多少のデメリットを考慮しても、公正証書遺言の形式をとることがお勧めです。そしてその際には、内容面のチェックはやはり専門家の視点を入れた方が確実ですので、遺言書を作成される場合は、ぜひ弁護士等の専門家にご相談ください。

以上 
                                                                    

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