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予約契約の利用について(1) 総論

弁護士 天野雄介

平成24年4月10日更新

予約契約は民法556条1条において、「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生じる。」と規定されています。
もっとも、予約完結権の行使を双方が可能である契約形態も禁止されているわけではありませんので可能です(双方の予約と言われます)。
民法556条1条は民法559条により有償契約について準用されていますので、賃貸借や請負などにも予約契約が可能です。

予約契約と混同しやすい契約としては期限付き契約や条件付き契約があります。
「平成○年○月○日になったら」や「私が死んだら」など将来確実に生じる事象が発生するまで契約の履行を請求できない場合を期限(民法135条)といいます。
また、「私が宝くじに当たったら」や「あなたが私より先に大学に合格したら」など将来その事象が生じるか否かが不確定な事象が発生するまで契約の履行を請求できない場合を条件(民法127条)といいます。
いずれの場合も期限が到来したり条件が成就したら、すぐに契約の効力が発生する点において、完結の意思表示が必要な予約契約と異なります。

また、予約契約の中でも、予約完結の意思表示を行えば、そのまま本契約の効力が生じる契約形態と、予約完結の意思表示により本契約締結の義務が生じるという契約形態と2種類があります。
例えば、農地法の許可が必要な不動産の土地売買においては、契約条件は全て決まっているが農地法の許可が条件となっている場合には、前者の予約完結の意思表示を行えば、そのまま本契約の効力が生じる契約形態が向いていると思われます。
逆に、定期借家予約契約の際には公正証書により契約書が作成されることが多いですので、定期借家予約契約を締結し、完結の意思表示を行った後、定期借家契約書を公正証書で作成するという後者の契約形態になろうかと思われます。

もっとも、契約締結段階において予約契約とするのか、停止条件付き契約(契約の効力発生を一定の事象の発生を条件とする契約)とするのかなどの選択は、双方のメリット・デメリットを総合考慮する必要があります。
そこで、次回は具体的事例について、どのような契約形態が適切であるか検討してみたいと思います。
                                                                    

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