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会社整理・再生

清算手続支援・特別清算手続

会社の通常清算(通常解散)は、会社がその活動を終了し、全ての資産を処分して債務を清算し、最終的に法人格を消滅させる手続きのことです。通常清算は、会社が倒産や破産を避ける形で自発的に事業を終える場合に行われます。


会社の特別清算は、会社の清算において債務超過にある場合に、債権者の同意手続を経て、裁判所の監督のもと全ての資産を処分して債務を清算し、最終的に法人格を消滅させる手続きのことです。破産との違いは清算会社の主導で行うためフレキシブルな処理が可能である一方、債権者の同意のもとで行っていくため、債権者への情報開示や説明が重要であるという点にあります。

通常清算の手続

通常清算の主な流れは以下の通りです。

会社の解散決議

会社の解散は、株主総会で決議されることが一般的です。会社法に基づき、解散の決議には株主の特別決議(通常の過半数ではなく、3分の2以上の賛成)が必要です。

清算人の選任

解散が決まったら、次に「清算人」が選任されます。清算人は、会社の資産を売却し、債務を支払って残余財産を株主に分配する責任を持ちます。清算人は、通常、取締役会が選任するか、株主総会で選ばれます。

清算手続き

清算人は、以下の手続きを行います。

・債権の回収:会社が持っている未回収の債権を集めます。

・債務の支払:会社が負っている負債を整理し、支払いを行います。

・資産の処分:不動産や設備、在庫などの資産を売却します。

・株主への配当:債務を全て支払い終わった後、残余財産があれば株主に分配されます。

清算結了報告書の作成

清算手続きが完了した後、清算人は「清算結了報告書」を作成し、株主総会で報告します。この報告書には、清算の過程や財務状況が記載されます。

法人格の消滅

最後に、清算が完了したことを税務署などに届け出た後、会社の法人格が消滅します。消滅後、会社は法的に存在しないものとなります。

通常清算における弁護士の関与

会社の通常清算手続における弁護士の関与は、清算手続きを円滑かつ法的に正当なものにするために非常に重要です。弁護士は、清算のプロセスをサポートするさまざまな役割を担います。以下に、弁護士が関与する主なケースを説明します。

解散決議のアドバイス

・会社が解散を決定する際、株主総会で解散の決議を行います。この際、弁護士は、解散決議が法的に適正であることを確認し、手続きに不備がないようにアドバイスを行います。
・特に、解散決議の際に必要となる特別決議(株主の3分の2以上の賛成)を満たしているかどうか、手続きが正しく行われているかなどの確認が必要です。

清算人の選任

・清算人の選任は重要なステップであり、株主総会での決議の適正さを確認するために弁護士が関与することがあります。
・清算人の選任方法やその任務、責任に関して、弁護士が法律的なアドバイスを提供する場合があります。

清算手続きの監督とアドバイス

・清算人は、会社の債権の回収、債務の支払い、資産の処分などの一連の清算手続きを行いますが、この過程で法的な問題が生じることがあります。たとえば、債務者との交渉、資産売却時の契約書作成、税務問題の確認などです。
・弁護士は、清算人が適切に手続きを進めるための法的サポートを提供します。例えば、債務の優先順位や未払いの税金への対応方法、契約の見直しなどについて助言します。

法的リスクの管理

・清算手続き中に発生する法的リスクを適切に管理することが重要です。弁護士は、清算人が会社の法的責任を適切に処理し、会社に不利益が生じないように助言します。
・例えば、取引先との契約解除や訴訟リスクの管理、従業員の退職金支払い問題など、さまざまな法的側面が関わる場面で弁護士が支援します。

清算結了報告書の作成

・清算手続きが完了した後、清算人は「清算結了報告書」を作成します。この報告書には、清算の進捗や残余財産の分配についての詳細が記載されます。
・弁護士は、この報告書が法的に適切な内容であり、株主に対して正確に情報が提供されるようにサポートします。

株主への分配

残余財産の株主への分配についても法的な配慮が必要です。特に、株主の間での不平等が生じないように配分を進めるため、弁護士が適切な法的手続きをアドバイスすることがあります。

その他の法的手続き

解散と清算の手続きには、登記手続きや税務申告などが関わるため、弁護士は、これらの手続きを適切に行うためのサポートも行います。たとえば、解散後の法人格消滅登記や、清算終了後の税務申告のサポートを提供します。

特別清算の特徴と手続

特別清算の主な特徴

・裁判所の関与がある
通常の清算手続きは、裁判所の監督なしに進めることができますが、特別清算の場合は、裁判所に申立てをして、裁判所の監督下で進められます。裁判所は、清算人を指名し、適切に手続きが行われているか監視します。


・債権者との協議
特別清算では、会社の債権者との協議を経て、債務の弁済方法や資産の分配方法が決定されます。債権者に対する支払いが済むまで、会社の清算は続きます。


・資産の売却と分配
清算人は、会社の資産を売却して得た金額を債権者に対して配分します。資産を売却し、債権者の順序に従って優先的に支払いを行います。

 

・自己破産と異なる点
破産手続きの場合、裁判所が破産管財人を選任して手続きが進みますが、特別清算では、株主総会で選ばれた清算人が管理します。破産は債務者が破産宣告を受けることによって強制的に開始されますが、特別清算はあくまで会社の意志に基づき、債権者の同意のもとに行われます。


・目的と状況
特別清算は、破産手続きに比べて企業が解散するためのより穏やかな方法として利用されることが多いです。破産に至る前の段階で、会社が資産の整理や債務の処理を行いたい場合に選ばれることがあります。

特別清算の手続

・清算開始決議
まず、会社の株主総会で「清算開始の決議」が行われます。この決議により、会社は正式に清算手続きを開始します。清算人(会社の資産整理を担当する人物)も選任されます。通常、株主総会で決定された清算人が、会社の清算業務を担います。

 

・裁判所への申立て
特別清算は、裁判所に申立てを行い、裁判所の監督下で進められます。申立て後、裁判所は清算人の選任を確認し、清算手続きが正式に開始されます。裁判所に申立てを行うことで、清算人が会社の資産の整理や債務整理を行うことが法的に認められます。

 

・債権者の把握
清算人は、会社の債権者を確認し、その債権額を調査します。債権者のリストを作成し、債権者に対して通知を行います。債権者は、自身の債権を清算人に申告し、その内容が正しいかどうかを確認します。これにより、債権の正当性を確保します。

 

・資産の売却と処分
清算人は、会社の資産を売却または処分し、会社の財産を全て換価します。

 

・債務の弁済
 協定型(債権者の3分の2以上の同意を得る)か和解型(各債権者の個別の同意を得る)の方法により、債権者集会において同意を得て、その内容にしたがって弁済を行います。

 

・会社の解散と終了
すべての処理が完了すると、裁判所により特別清算の終結決定を得て、会社は正式に解散します。これにより、会社の法的な存在は終了します。解散後、登記簿から会社の名称が削除され、会社の法人格が消滅します。

 

特別清算は、破産手続きと比較して企業の意思を反映させやすく、比較的柔軟に進められる手続きです。また、裁判所の監督のもとで進行するため、一定の法的保障が与えられています。

破産手続きと比較して裁判所の監督を受けるという点で法的な枠組みは存在するものの、比較的スムーズに処理が進むことが特徴です。

特別清算における弁護士の関与

法的アドバイスと助言

・弁護士は、特別清算の手続きにおいて、会社や清算人、債権者に対して法的なアドバイスを提供します。特に、清算の過程での法的問題や疑問に対して、解決策を示す役割を担います。
・例えば、会社の資産が売却される際に適切な方法や手続きを選ぶための法的助言や、債権者との交渉で発生する可能性のある法的リスクに関するアドバイスが求められます。

清算人の選任と手続きのサポート

・特別清算では、会社の株主総会で清算人が選任されますが、弁護士はその選任過程において、法的要件や適正な手続きを確保するためにサポートします。
・清算人が選任された後、弁護士はその清算手続きが法的に適切に進められているかをチェックし、必要な書類作成や提出を手伝います。

債権者の管理と交渉

・特別清算の過程で、清算人は債権者に対して債権申告を求めますが、弁護士は債権者との交渉や債権の確認手続きに関与することがあります。特に、債権者間で異議がある場合や、優先順位に関する問題が生じた場合には、弁護士の助言が重要です。
・債権の内容を確認し、適正な弁済計画を策定するために、弁護士は法的なサポートを提供します。

資産の処分と契約に関する助言

・会社の資産を売却する際、弁護士はその契約書の作成や交渉をサポートすることがあります。資産売却に関する法的なリスクを回避するため、売却契約書に関する助言を行います。
・特に、第三者との契約において契約違反やトラブルを避けるために、弁護士の関与が必要です。

裁判所への申立てと手続き

・特別清算を進めるためには、裁判所への申立てが必要です。弁護士は、裁判所への申立書を作成し、必要な書類を準備して提出する役割を担います。
・裁判所は清算手続きに関与し、監督する役割を果たしますが、弁護士はその過程で裁判所から求められる情報提供や資料の提出を手伝います。

弁護士の関与が重要な理由

・法的リスクの回避: 特別清算の過程で発生する可能性のある法的問題やリスクに対して、弁護士が早期に対処することで、会社や債権者の利益を守ります。
・手続きの適法性の確保: 清算手続きが法的に適正に行われていることを保証するために、弁護士が関与します。特に裁判所の監督下で行われるため、手続きの透明性と適法性を保つことが重要です。
・債権者との交渉や調整: 債権者の間で意見の相違が生じた場合や、複雑な債権整理が必要な場合には、弁護士が調整役として重要な役割を果たします。