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民法改正~新民法適用のルールについて~   (弁護士 中村美絵)

こちらのリーガルトピックスでも繰り返しお伝えしてきましたとおり、民法の一部(債権法)が改正され、2020年4月1日に施行されました。
原則として、施行日である2020年4月1日以降に生じた出来事については、新しい民法が適用されることになりますが、例外的な経過規定も設けられておりますので、今回は、どのような場合に改正後の民法が適用されるのかについてご説明いたします。

1 契約について
施行日より前に締結された契約については、原則として改正前の民法が適用され、施行日後に締結された契約については改正後の民法が適用されることになります。
ただし、例外として、定款約款については、施行日前に契約が締結された場合であっても、施行日後は改正後の民法が適用されますのでご注意ください。
また、施行日後に当事者が契約を合意によって更新した場合には、当事者はその契約に改正後の民法が適用されることを予測していると考えられますので、施行日後に新しく契約を締結した場合と同様に考え、改正後の民法が適用されることになります。

2 消滅時効について
消滅時効については、「施行日前に債権が生じた場合」または、「施行日前に債権発生の原因である法律行為がされた場合」には、その債権の消滅時効期間については、原則として改正前の民法が適用されることになります。上記のいずれにも該当しない場合には、改正後の民法が適用されることになります。

3 遅延損害金について
施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合の遅延損害金の額は、当事者において利率が約定されていない限り、改正前の民法における法定利率(年5%)によって定められることになります。施行日後に債務者が遅滞の責任を負った場合には、改正後の民法に基づき、遅滞の責任を負った時点の法定利率が適用されることになります。

4 中間利息控除について
施行日前に損害賠償請求権が発生した場合には、中間利息の控除に用いる法定利率については、改正前の民法が適用となり年5%となります。
施行日後に損害賠償請求権が発生した場合については、改正後の民法に基づき、請求権発生時点での法定利率が適用されることになります。

5 最後に
民法改正の施行による新民法の適用ルールをご説明いたしました。
改正民法は2020年4月1日から施行されておりますので、これから契約を締結される際には、新民法が適用になることに留意し、これまで用いていた契約書をそのまま使用するのではなく、修正すべき箇所がないか十分にご検討のうえ、契約書を作成されることをおすすめします。

以上

    リーガルトピックス/お知らせに関するご注意

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