2025年6月1日に施行された「刑法等の一部を改正する法律」により、執行猶予期間中の再犯に対する取消制度が見直されました。
改正前は、執行猶予期間中に再び罪を犯した場合でも、再犯事件の有罪判決が確定し、執行猶予が取り消される前に猶予期間が満了すると、前の刑の言渡しが効力を失い、執行猶予を取り消すことができないという問題がありました。
改正後は、刑の全部の執行猶予期間中に、罰金以上の刑に当たる罪を犯し、猶予期間が満了するまでにその罪について公訴が提起されている場合には、猶予期間が満了しても、一定期間、前の刑の言渡しの効力が継続します。そのため、再犯事件の判決が猶予期間満了後に確定した場合でも、執行猶予を取り消すことが可能となりました。
この改正は、再犯事件の審理期間や判決の確定時期によって執行猶予の取消しの可否が左右されるという不均衡を解消するとともに、執行猶予制度が有する再犯防止のための心理的強制機能を維持することを目的としています。
具体的な取扱いは次のとおりです。
【必要的取消し】
猶予期間中に犯した罪について、猶予期間満了時までに公訴が提起され、拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがない場合には、原則として、前の執行猶予を取り消さなければなりません。
ただし、猶予期間中に犯した罪が、猶予期間満了後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情その他の情状を考慮して取消しが相当でないと認められるときは、例外的に取り消されないことがあります。
【裁量的取消し】
猶予期間中に犯した罪について、猶予期間満了時までに公訴が提起され、罰金刑に処せられた場合には、裁判所は、前の執行猶予を取り消すことができます。
なお、この制度は再犯事件の判決が確定する前に執行猶予を取り消す制度ではありません。猶予期間満了後も前の刑の効力を一定期間継続させ、再犯事件について罰金以上の刑に処する裁判が確定した後に、執行猶予の取消しを行う制度です。
今回の改正により、控訴等によって再犯事件の裁判が長期化し、その間に執行猶予期間が満了した場合であっても、それだけで当然に前の刑の言渡しが効力を失うことはなくなりました。
もっとも、この新制度が適用されるのは、原則として、2025年6月1日以後に刑の全部または一部の執行猶予の言渡しがされた場合です。同日より前に言い渡された執行猶予については従前の制度が適用される点に注意が必要です。
以上